第6回箕面芸術祭 レビュー「ペール・ギュント」

2011.03.05.sat/メイプルホール

第6回箕面芸術祭 レビュー「ペール・ギュント」

多くの市民が参加して行われた第6回箕面芸術祭・レビュー「ペール・ギュント」。役者たちの稽古、衣装や大道具・小道具などの製作、音楽・音響・照明など、長い時間と人手をかけて作りこまれてきた舞台が、ようやく本番を迎えました。
 3/5(土)夕方6時30分。メイプルホール大ホール、幕開きを今か今かと待つ観客たちの前で、いよいよ幕が上がります。
 「ペール・ギュント」は、イプセンの戯曲にノルウェーの作曲家グリーグが劇中曲をつけた、古典の名作です。特にその音楽は、誰でも聴いたことがあるような曲のオンパレード。今回はなんとその名曲が全曲生演奏されることになり、観客席の最前列部分にはいつもより一段床が低くなったオーケストラピットが設けられました。弦楽四重奏、フルート、オーボエ、ピアノ、演奏者はさほど多くないにも関わらず、奏でるその音は重厚で、奏者の確かな技量を感じさせました。
 ノルウェーのとある村に住む、放蕩息子ペール。結婚式場から花嫁イングリをさらい、飽きればすぐに捨ててしまうという無道ぶりに、ついに村を追われることになります。魅力的な緑衣の女に誘われ、着いたところはトロル王ドヴレの城。「わしの婿になれ」という王の申し出を断ったため、魔物たちに襲われるペール、絶体絶命!…その時、清らかな鐘の音が鳴り響き、魔物たちを退散させます。ペールの命を救ったのは、清楚な少女・ソールヴェイでした。
 つかの間、ソールヴェイとの幸せな生活を楽しむペール。しかしそれも長くは続きません。ささやかな幸福を手放し、広い世界へと旅立っていきます。あちこち渡り歩いて、一山当てて大金持ちになったり、全財産を積んだ船を奪われて一文なしになったり。泥棒の財宝を横取りして、アラブの預言者に成りすましたり、とにかく波乱万丈な人生を歩んできたペールですが、年老いてようやく故郷へ帰ってきます。もうほとんど力の尽きかけた彼が出会った、懐かしい一人の老婦人。その人のひざに顔をうずめ、愚かだった己の人生を悔やみながら、ペールは静かに目を閉じます。そんな彼の全てを受け入れ、疲れ切った男のためにやさしく子守歌を歌いかけるのは、まさしくソールヴェイその人でした。
 劇中では、ところどころに華やかなバレエの踊りが取り入れられ、森の妖精やアラビアの踊り子の衣装をまとった踊り手たちが、優雅な舞いを披露していきました。舞台美術も本格的で、ノルウェーの渓谷を描いた美しい背景など、視覚でも充分楽しませてくれました。
 3時間近くに及ぶ大作も、無事にフィナーレ。コーラス隊のみなさん、出演者たち、演出家を始めとするスタッフも舞台に勢ぞろいし、観客席へ深々と何度もおじぎを繰り返すと、そのたびに拍手が高まり、「ブラボー!」のかけ声も飛んでいました。冷めやらぬ熱気はロビーにも流れ出し、演じ終わったばかりの出演者が、あちこちで友人知人に囲まれ、ねぎらいと祝福の言葉を受ける姿も見られました。

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