第8回箕面芸術祭「ロックンロール小町」

2013.03.09.sat/メイプルホール

第8回箕面芸術祭「ロックンロール小町」

第8回箕面芸術祭「ロックンロール小町」が3月9日(土曜日)、10日(日曜日)の二日間に渡って上演されました。
サブタイトルは「器量と才覚で平安の世を駆け抜けた小野小町の一代記」。

花の色は移りにけりないたづらに
わが身世にふるながめせしまに

百人一首でも知られ、六歌仙にも数えられている小野小町ですが、その生涯は謎に包まれています。今回の舞台は、小町の生きざまを大胆に解釈し、ロックンロールのビートに乗せて物語を進行するという斬新なものでした。
 若い頃から歌の才能に恵まれ、都に上ってからはその美貌もあいまって、小町は一躍トップスターの座に。帝の寵愛も受け、男たちはこぞって小町に求愛します。その一人、深草の少将は「百日通えば愛を受け入れる」という言葉を信じて通い詰めますが、ちょうどその百日目、小町の目の前で力尽き、息を引き取ります。
 このことがあってから、人々の態度は一変。男を死に追いやった張本人としてのそしりを受け、ついには追討の命が下されてしまいます。屋敷を取り巻く討手の群れ。小町、危うし!
絶体絶命の小町を救ったのは、深草の少将の亡霊でした。幻術を使ってかわいらしい白ギツネを出し、兵士たちを惑わせ、みごとに退散させました。
 それにしても、身勝手な人の心…もてはやすかと思えばおとしめ、転変して定まるところを知りません。小町自身は、変らぬ生きかたを貫いているだけなのに…何もかもわずらわしくなった小町は、ついに叫びます。

ロックンロール!

かつて若者たちが、世間一般の通念・常識に抗い、己の信念を通すために選んだ音楽。それはまさしく、小町の生きかたそのものでした。爆音のエレキが轟きわたり、情熱のビート、魂のシャウト、全てから解放された小町の激しい踊りとともに、舞台はクライマックスを迎えました。

今回の作品には、プロの役者やバレエダンサーの他、役者として参加した一般市民・子どもたち、高校生バンド、市内で活動するダンスグループ、箕面市青少年吹奏楽団などが参加して、協力しながら舞台を作り上げました。
フィナーレ、勢ぞろいした出演者の額には、光る汗。会場を埋め尽くした観客からは、惜しみない拍手が贈られ続けました。

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