怪物になったおばあさんを救ったのは…みのおキッズシアターwith末成由美 第12弾

2017.08.27.sun/メイプルホール

怪物になったおばあさんを救ったのは…みのおキッズシアターwith末成由美 第12弾

 吉本新喜劇の人気女優・末成由美さんと箕面の子どもたちが作り上げるステージ「みのおキッズシアターwith末成由美」。
上演は8月26日(土曜日)・27日(日曜日)の2回で、メイプルホールで行われました。
 12年目、第12弾となる今回は「舞いあがれ!夢の羽」編と題して、末成さん扮するおばあさんと町の子どもたち、地獄の見習い鬼たちが入り乱れながら物語を繰り広げました。
 3カ月に渡って重ねてきた稽古の成果を、子どもたちははつらつと演じ切り、大きな拍手を受けていました。

<あらすじ>

子どもたちが遊んでいると、どこからともなく聞こえてくる「チェッ!チェッ」という音。
「舌打ちばあさんや、みんな逃げろー!」
現れたのは、しかめっつらのおばあさん。と、そこに逃げずに残っていた小さな女の子がいるのに気づきます。
「私、足が悪くて、走れないの」
コトネというその少女は、おばあさんにそう伝えると、姉たちに連れられて去って行きます。
それと入れ替わるようにやって来た、やけにおっさんぽい、見るからに阪神ファンの子ども。初対面のおばあさんになれなれしく話しかけてきます。おばあさんが立ち去った後、その子どもは「穴でも掘ろか」と謎のセリフを残すのでした。

 ところ替わって、ここはあの世。三途の川のほとりの研修所で、見習いの鬼たちが勉強をしています。その中の一人・蘭鬼は「すべての人間は地獄へ落とすべきだ」と強硬論を展開。「悔い改めたなら、地獄へ行かなくてもいい」という穏健派の龍鬼たちと、いつも対立しているのでした。
 そこへ迷い込んできた亡者・猪太郎。まだ死んで間もなく、うろうろしているうちにここへ来てしまったといいます。
 そこへ今度は、貴鬼という新米の小さな見習い鬼がやって来ました。胸にかけた「浄玻璃の鏡」は、閻魔大王の血族しか持つことができないはずですが…。
「チェッ、チェッ!」
またしても来訪者。それはなんと、あの舌打ちばあさんでした。
「あなたは、まだ死んでいませんね?生きた人間はここには来れないはずですが…」
事情がわからず当り散らすおばあさんをなだめて、鬼たちは人間界へおばあさんを送っていくことにしました。

 町の子どもたちが集まっているところへ、やってきた鬼の一行。ところが、かんじんのおばあさんは、いつの間にか姿をくらましています。実はおばあさん、こっそり貴鬼をそそのかしていたのでした。
「あの子どもたちは、いつも私をいじめてたんや。こらしめてやってくれ!」
貴鬼はその不思議な力で、子どもたちから若さ、生きる希望を吸い取ってしまいます。
まるで老人のようになってしまった、子どもたち。
さすがのおばあさんも、うろたえます。
「私は、そんなつもりでは…」
その時、おばあさんが突然苦しみ始めます。子どもたちから奪ったエネルギーが流れ込んだ結果、おばあさんは巨大な怪物に変身してしまったのでした!

一方の、三途の川のほとり。
人間界で大ごとになっていることも知らず、鬼たちは「地獄とは?」というテーマで議論しています。話が白熱する中、人間への憎しみをあらわにする蘭鬼。なぜ、どうしてそこまで…いぶかる周囲をよそに、蘭鬼は苦悶の表情で走り去っていきます。
「ごくまれに、前世は人間だった鬼がいるという。まさか蘭鬼が…」

再び、人間界。
貴鬼の結界で、一旦怪物は封じ込められましたが、子どもたちは老人になったまま。
その中でコトネだけは、なぜかエネルギーを奪われていませんでした。
そこへ、三途の川で知らせを受けた見習い鬼たちが到着します。
早く怪物を倒さなければ!
蘭鬼は無理に結界を解かせ、槍を手に打ちかかりますが、まるで歯が立ちません。他の鬼たちの攻撃も効かず、万事休す…と思われたその時。

「あっ、コトネ!」

静かに近寄ったかと思うと、無防備に両手を広げて、コトネは怪物に抱きつきました。
「ああ…あったかい…」
怪物の姿は消え去り、元の姿に戻った舌打ちばあさんが、ぼんやり立ち尽くしていました。
「淋しかったんや…歳を取って、誰にも見向きもされず、忘れ去られて…」
そんな自分に思わず舌打ちをしていたら、子どもたちが振り返ってくれた。
それからというもの、みんなに忘れられないために、舌打ちばあさんを演じ続けてきた。
打ち明けるおばあさんの言葉に、みんなは聴き入ります。
するとそこへ、閻魔大王がじきじきに降臨するという知らせが。
現れたのは、なんとあの阪神大ファンのおっさん子ども!
実は今回の騒動、閻魔大王が仕組んだことだったのです。
孫の貴鬼に経験を積ませるため、舌打ちばあさんを三途の川に誘い込み、人間界へ一緒に行けるように計らった、という閻魔大王。
コトネだけ無事だったのは、誰よりも強く生きようとする意志を持っていたから。その強さとは、やさしい心のこと。その心が、力で倒せなかった怪物を見事に消し去った…。
人間をあれほど憎んでいた蘭鬼も、コトネの姿に心を打たれていました。
「人間も、そう悪くないかもしれない…」
全て丸く収まり、おばあさんもすっきりした様子。
「なんか楽しなってきたな。じゃあこれからも、夢と希望を持って生きて行こう!」
チェチェチェーッ!
楽しげなみんなの舌打ちが、空の下に響きました。