父の日コンサート「戦火をくぐり抜けたバイオリン」

2019.06.20.thu/箕面市立メイプルホール小ホール

父の日コンサート「戦火をくぐり抜けたバイオリン」

 第二次世界大戦の戦火をくぐり抜け、修復されたバイオリンの演奏会が、箕面市立メイプルホール小ホールで行われました。
 戦前、日本の委任統治領だったサイパン島やパラオ諸島で、医師として勤務していた故武田茂さんは、バイオリンを通して現地の人たちと楽団を結成するなど交流をもっていました。しかし、第二次世界大戦が始まり、戦局が悪化。命からがら帰国の船に乗り、持って帰ったバイオリンは、手元に置き続け、お孫さんに演奏を披露したこともあったそうです。武田さんが亡くなり、約30年ぶりにバイオリンのケースを開けると、弦が緩むなどしてそのままでは弾くことができず、弦楽器製作家の富田素行さんが約半年かけて修復。バイオリニストの横山亜美さんが、このバイオリンで、サラサーテの「ツィゴイネルワイゼン」などを演奏しました。武田さんの娘で箕面在住の牧野直子さんによると、武田さん家族がパラオから病院船で引き上げてくる際、その前後の船は撃沈されたそうです。まさに、戦火をくぐり抜けたバイオリンの音色を多くの来場者が当時に思いを馳せて聴くコンサートとなりました。

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